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生酒で感じるマスタード香は何?



日本酒の「生酒(なまざけ)」でマスタードのような香りを感じる場合、それはいくつかの化学的・微生物的要因が関係しています。


以下に詳しく説明します👇

🍶【1. イソチオシアネート類(マスタード香の主成分)】

マスタードやワサビ、ダイコンのようなツンとした辛香は、


主に イソチオシアネート(isothiocyanate) という化合物によるものです。

日本酒においても、特定の条件でこのような香りが出ることがあります。

▶ 原因:

  • 酵母や乳酸菌の代謝過程で含硫黄化合物(硫黄を含む揮発成分)が生成される

  • 生酒の場合、火入れ殺菌をしていないため、微生物や酵素が生きており、瓶内で成分が変化する

  • その結果、アリルメルカプタンメチルチオ化合物などが生成し、マスタード様・ゴム様の香りが出る

⚗️【2. 酸化・劣化による硫黄系香気】

生酒はとてもデリケートなので、保存状態によって香りが変化します。


温度が高かったり、光が当たったりすると:

  • 酵素が活性化 → アミノ酸が分解 → 硫黄化合物発生

  • それが「マスタード」「ネギ」「タマネギ」っぽい香りになることがあります

特に、「生老香(なまひねか)」と呼ばれる生酒特有の劣化香の一種に近いです。

🧫【3. 微生物の影響】

生酒は加熱殺菌していないため、 瓶詰後に乳酸菌や酵母が再び活動して香気を変えることもあります。


その過程で生じる代謝副産物(硫黄化合物など)がマスタード香を作ることも。

✅【まとめ】

原因 内容 香りの特徴 酵母・菌の代謝 含硫黄化合物生成 マスタード、ネギ、ゴム様 酸化・劣化 生酒の保存不良 ツンとした刺激臭 成分変化 酵素反応やアミノ酸分解 辛子っぽい香り

🧊【防ぐには】

  • 冷蔵(できれば5℃以下)で保存

  • できるだけ早く飲み切る(1~2週間以内)

  • 光に当てない(紫外線で劣化しやすい)

もしその香りが軽くスパイシーで心地よい程度なら、


発酵由来の個性として楽しめる範囲ですが、


強くツンとしたら劣化のサインです。

もし差し支えなければ、その生酒の銘柄や蔵元を教えてもらえますか?


その銘柄特有の香気傾向か、保存由来かをもう少し正確に判断できます。

 
 
 

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